DTMにおいて歌もの曲を制作するさい、ボーカロイドのお世話になっている方も多いだろう。
わたしはボーカルが壊滅的にアレだし、ボーカルパートを歌ってくれる天使のような友人にも恵まれていない。そんなアレな上にぼっちな人間とって、ボカロはボーカルパートを制作するために無くてはならない救いの女神だ。
歌もののメインパートを制作するための”ボカロ”という楽器を、よりリアルな人間のボーカルっぽく打ち込むやり方をラクして習得したい。
そう思い甲楽わん氏の”農学博士がボカロ調声にハマった!”を購入した。
「ボカロは人間にはできないような表現ができるからいい」、「ボカロは人間っぽくないのが魅力」そう思われる方もいることと思う。しかし”人間っぽく歌わせる技術”を習得すれば反対に”機械っぽく歌わせる技術”にも応用できるということだ。
そんなボカロの調教技術を手軽にわかりやすく教えてくれる良書を簡単にレビューしたい。
ボーカリストとボカロの歌い方の違いをテクニックとして教えてくれる。
「そもそも人間とボカロの歌い方はどこが違う?」という観点から、どうすればボカロを人間っぽく歌わせられるのか。本書ではそれらをテクニックとして提示してくれている。
これらをVSQX画面で人間の場合とボカロの場合。音声データではボカロベタ打ちとテクニックを用いた場合を比較できる。
またその際、フレーズを自分で口ずさんでみることも重要であると感じた。実際口ずさんでみるとアレな自分でも無意識に人間側で歌っていたんだと驚いた。そんな風に実際に体験することで、人間っぽく歌わせられるテクニックをわかりやすく習得することができる。
調声技術を組み合わせたボーカルのキャラクター例を提示してくれる
人間のボーカルは一人ずつ個性があって、その個性の違いがボーカルの好き嫌いにつながってくる。すべての歌唱テクニックを完璧に使いこなせるボーカルが果たして理想のボーカルだろうか?
本書では調声テクニックの組み合わせでボーカルのキャラクターやテンションの表現の仕方を解説してくれている。
ボカロを人間のボーカルらしく歌わせたいなら、どんなボーカルであるのかイメージを持つことが重要だ。
そのイメージに近づけるための技術を本書は提示してくれている。
cevioにも応用できる
本書ではほとんどが初音ミクなどに代表されるボーカロイドを例に解説されている。しかし根本的な部分は”ボカロを人間っぽく歌わせるための技術”なのでcevioにも応用できる。
かくいう私も所持しているのがcevioのさとうささらとoneのライブラリーだけである。だが本書の考え方を用いればcevioでも人間のボーカルのように歌わせることが可能だ。
まとめ
ボカロを簡単に調教するためのテクニックを教えてくれる良書”農学博士がボカロ調声にはまった”をご紹介してきた。
ボーカロイドはそれぞれのライブラリごとで個性も違い、歌わせる側の人間の個性の違いもあって聴く側でも楽しませてくれる。最近ではVocaloid5も発売されたのでそちら側にも手を出してみたい誘惑を抑えるのに必死だ。
ただ本書で一つのライブラリーでも調声技術の組み合わせ方で、ボーカルのキャラクターを自在に変えられるのだと教ることができた。
最後に本書でも取り上げられた移行音やオーバーシュートなどの技術を使っている拙作をこっそり張り付けて締めくくりたい。