「コピーバンドのギタリストから自分で作品をつくれるクリエイターになろう!」そう思って一年目の僕。もともとベースやドラムも触っていましたが、DTMという未来文明のお力をお借りしてつくった最新のオリジナルの歌もの曲、
「ひび割れ」です。
目次
聴きどころはサビのアッパーストラクチャー
作者である僕がおすすめするこの曲の聴きどころはサビの最後のほう。
アッパーストラクチャーといってギターなどの低音部のコードと、バイオリン、チェロ、ビオラのストリングスパートがわざと別のコードを同じ小節で鳴らしています。
当然二つのコードが同時になると不安定さが生まれます。ですがただ気持ちいいというのは山もオチも無く終わるということ。でもそれって逆になんの面白みもないっていうことですよね?突っ込みどころを用意することこそエンターテイナーというものです。
このアッパーストラクチャーによって生み出される不安定さが次のパートに解決したいという欲求、聞いてくれた人へのひっかかりを生み出しています。
cevio/oneがメインボーカル
この曲は巷で有名な初音ミクのようなvocaloidではなく、cevioという音声合成ソフトでボーカルパートを作成しています。「自分で歌うのは絶対無理!」ということには絶対の自信をもつ僕にとっては非常に頼もしいパートナーです。
「ボカロ調声って難しそう…」そう思っていた時期もありました。ですがネットで見かけた「vocaloidよりもcevioの方がラク」という言葉を信じてよかったと自信をもっていえます。
メロディはDAWで打ちこみ、歌詞はcevioで
まずメロディをDAWのcubase pro9で打ち込み、cevioに読み込んで歌詞を歌わせています。cevioのすごいところはただこれだけのいわゆる「ベタ打ち」の状態でもそこそこ聴けるクオリティで出来上がります。そこから音程やタイミングを微調整してDAWに戻し、ボーカル素材としてDAWでミキシング処理しています。少ない手間で上手に歌ってくれるoneのおかげで、ボーカルパートは調声の手間も少なく制作できました。
ストリングスパートはボーカルに対してのカウンターメロディを担当
ストリングスは二本のバイオリン、ビオラ、チェロからなる4声体からできています。このストリングスパートは主にボーカルに対するカウンターメロディを担当です。
ストリングスでメロディを作れるからと言って好き放題していては主役であるボーカルの邪魔でしかありません。そこでボーカルが動いているときはおとなしくして、ボーカルのメロディが落ち着きだしたら大きく動き出します。
この曲のストリングスは陰で主役をサポートしてくれる縁の下の力持ち、戦隊ものの6番目の戦士といったイメージです。
また二番のAメロではバイオリンのピチカート(指弾き)がアルペジオを担当していますが、なるべくコードの高音部が動かないように配慮しテンションや展開形を選んでいます。
ストリングス音源はイタリアのIK Multimedia社のMiroslav Philharmonik 2 を使用しています。
ベースはドラムを意識
ベースは同じリズム隊ということでドラムの特にキックを意識してベースラインを作りました。逆に言えばなるべくメインのメロディに被って邪魔にならないように意識しています。
こちらもストリングス同様、カウンターメロディを意識しているといえます。
ベース音源は同じくIK MultimedeiaのModo Bassを使用。
ドラムはToontrackのSuperior Drummer3を使用しています。
唯一の生演奏楽器であるエレキギター
自分の得意楽器であるエレキギターをかなり歪ませて録音しています。
これはストリングスのアコースティック感と対比するためです。けして毎回毎回歪ませてもいい理由をこじつけている歪み厨ではありません。
ギターソロは歪を抑えて太くて艶のある音をイメージしています。
フレーズとしては導入部分でサビの音づかいを意識して、後半は早いフレーズで盛り上げて最後のサビにつなげています。けして毎回毎回早いフレーズをピロピロ弾ける理由をこじつけているピロピロ厨ではありません。
エレキギターはIbanezのRG9570、プリアンプはKemperでパワーアンプはFRYETTEのPower Station2、アッテネーター兼キャビネットシュミレーターとしてTwo notesのTorpedo Liveを使用しています。
今回唯一の生演奏楽器ということもあり、音作りにもこだわっているのでこちらも気にして聴いてもらえると嬉しいです。